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不動産コンサルティング制度について

不動産コンサルティング制度(不動産コンサルティング技能試験・登録制度)とは、(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)が平成5年度より実施している事業で、不動産コンサルティングに関する知識・技術を試験により審査し、合格者は、申請により同センターの登録を受けることができるというものです。登録を受けた人のことを「公認 不動産コンサルティングマスター」といいます。 現在までの経緯を簡単にまとめました。

11.制度の発足とこれまでの経緯

社会経済環境の変化に伴い、個人・法人を問わず土地所有者等の不動産に関するニーズは多種多様なものとなっています。さまざまなニーズに広く応えるためには、高度な専門知識と豊かな経験を持った人材が必要であることはいうまでもありません。このような社会的要請を踏まえ、平成4年に「不動産コンサルティングに関する知識及び技術の審査・証明事業認定規程」(平成4年7月2日付建設大臣告示第1277号)が設けられました。

この規程は、「不動産コンサルティングに関する知識及び技術の向上を図り、もって不動産の有効利用に対する社会的要請に応えるとともに、宅地建物取引業における人材の育成を図り、その健全な発展を促進することを目的とする」としていました。

不動産コンサルティング技能試験・登録制度(当ホームページでは「不動産コンサルティング制度」といっています。)は、(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)が、上記規程に基づく事業認定機関として、平成5年度からスタートさせたものです。

社会的要請に応えるという制度の趣旨は変わらないものの、その後、平成8年9月20日に閣議決定された「公益法人に対する検査等に関する基準」により、公益法人が独自に行っている検査等の制度の実施機関を国が推薦する場合は法令に基づかなければならないこととされました。これを受け、不動産コンサルティング技能試験・登録制度については、不動産特定共同事業法施行規則の改正(平成11年12月1日公布)により、「不動産特定共同事業の業務管理者としての能力の審査・証明事業」として認定され、省令で位置づけられました。

さらにその後、行政改革の一環として、公益法人が行う資格制度で実施機関を国が認定している制度は原則として民間開放とするという仕組みが盛り込まれた「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」が平成14年3月29日に閣議決定されました。これを受け、「不動産特定共同事業の業務管理者としての能力の審査・証明事業」についても、省令・認定制度での位置づけから、証明事業を行う者が大臣に申請し、実施機関として登録を受ける「登録機関」制度に移行することとなり、平成18年3月31日に不動産特定共同事業法施行規則の改正が行われました。

現在、(公財)不動産流通推進センターは証明事業実施機関として国土交通大臣の登録を受けており、不動産コンサルティング技能試験・登録制度は、不動産特定共同事業施行規則に基づく登録証明事業として位置づけられています。

※平成25年1月に、従来の「有効な不動産コンサルティング技能登録証を保有する者」について、「公認 不動産コンサルティングマスター」という正式名称が制定されるとともに、技能登録自体に有効期間が設定されました。

22.不動産コンサルティング制度検討委員会報告書

制度発足以来多くの技能登録者が生まれましたが、不動産コンサルティング業務に対する社会的認知は十分とはいえず、また、業務の独立性と報酬問題を含む基本的な検討課題が残されていました。 そこで、平成10年5月、不動産流通近代化センターは、この制度の発展を図るための検討組織として「不動産コンサルティング制度検討委員会」を設置しました。約2年にわたる検討の後、委員会はこの結果を提言として取りまとめ、平成11年9月21日、報告書として公表しました。

(1) 報酬受領の条件

報告書では、不動産コンサルティング業務を「不動産コンサルティング技能試験・登録制度に基づく技能登録者が、依頼者との契約に基づき、不動産に関する専門的な知識・技能を活用し、公正かつ客観的な立場から、不動産の利用、取得、処分、管理、事業経営及び投資等について、不動産の物件・市場等の調査・分析等をもとに、依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案する業務」と定義しています。そして、このような業務について報酬を得るには、業務の独立性及び報酬受領について社会的認知を得ることが必要であるとし、そのための基本的条件として次の3つを挙げています。

  1. 不動産コンサルティング業務は、不動産に係る依頼者の広義の意思決定に係る助言・提言を行う業務として、宅地建物取引業法上の宅地建物取引主任者(現 宅地建物取引士)業務である不動産の売買・交換や売買等の代理・媒介業務から分離・独立したものであること。
  2. 不動産開発業務や管理業務などとも業務範囲を異にし、かつ、これらの業務の受託を前提としない固有の業務であること。
  3. 不動産コンサルティング業務は、その成果について依頼者が報酬を支払うに足りる新たな付加価値が認められる内容であること。

さらに報告書では、上記基本的条件を満たすスキームとして次の3つの要件を挙げています。

  1. 事前説明 不動産コンサルティング業務の受託にあたっては、依頼者に対し、事前に業務の範囲・内容、費用・報酬額の見積書等を提示・説明し、報酬受領に関して依頼者の理解と納得を得ること。
  2. 契約締結 不動産コンサルティング業務を受託するときは、業務委託契約が締結され、かつその契約書には、業務内容及び費用・報酬額が明示されていること。
  3. 成果物の書面化 不動産コンサルティング業務の成果物は、企画提案書等の書面で交付し説明すること。

以上のような基本的条件と3つの要件が整備され、これらが充足されることを前提として、不動産コンサルティング業務の範囲・報酬と宅地建物取引業法上の業務の範囲・報酬とを明確に区分することが可能となったわけです。

(2) 不動産コンサルティング協議会

報告書は、「不動産コンサルティング業務に対する社会的認知度を高め、業務の発展を確立するためには、公益法人である不動産業団体が全体の組織的な活動体制を確立することが不可欠」であるとし、大手・中堅・中小を含めた不動産業団体による横断的な組織機構として不動産コンサルティング協議会を設置する必要があるとの提言も盛り込んでいます。この提言に基づいて設立されたのが「不動産コンサルティング中央協議会」です。

3.3建設省(当時)が講じた措置

この報告書を受け、建設省(当時)は、不動産コンサルティング制度の発展を図るため、3つの措置を講じました。

  1. 不動産コンサルティング業務の報酬について、宅地建物取引業法の仲介業務等から分離・独立した業務として報酬の受領を認める要件を明示した事務連絡(平成11年9月27日付)が都道府県及び関係団体あてに出されました。
  2. 平成11年9月27日の不動産特定共同事業法施行規則(省令)改正により、技能登録者は、不動産特定共同事業の業務管理者の要件を満たす者として位置づけられました。
  3. 平成12年9月1日付け建設大臣告示で創設された不動産投資顧問業登録制度において、技能登録者を擁する業者は、一定の要件のもとに不動産投資顧問業に係る大臣の登録を受けることができることとされました。

I.の事務連絡で示された、宅地建物取引業法の仲介業務等から分離・独立した業務として報酬の受領を認めるための要件とは次の3点です。

  1. コンサルティング業務の受託に当たり、当該業務の成果に即した宅地建物の売買の媒介等の依頼を前提とするものではない旨、委託者に対し十分説明が行われていること。
  2. コンサルティング業務委託契約が書面で締結され、1 の趣旨が契約書上明らかであること。
  3. 業務の成果物が書面で提供されていること。

報告書の公表後、当中央協議会のほか多くの地方協議会が設立されました。また、技能登録者を対象とする「専門教育」や技能登録者を目指す方を主な対象とする「基礎教育」も実施されています。これらレベルアップのための教育事業への期待はますます高まっています。今後は、地方協議会が設立されていない地域での各不動産業団体の動きを支援するとともに、さまざまな機会をとらえて、不動産コンサルティング制度の社会的認知度をさらに高める活動を続けていきます。

44.金融商品取引法との関連

平成19年9月30日に施行された「金融商品取引法」において、「不動産関連特定投資運用業」を行う場合の人的要件として、「不動産投資顧問業登録規程」に定める「総合不動産投資顧問業」としての登録を受けていることが規定されました。これにより、「不動産コンサルティング技能登録者」(現・公認 不動産コンサルティングマスター)は、「不動産投資顧問業登録規程」に基づく「不動産投資顧問業」の登録に当たっての審査基準を満たすとともに、「金融商品取引法」に基づく「不動産関連特定投資運用業」の登録に当たっての審査基準を満たすものとしても認められることとなって、資格の活用範囲が広がりました。

参考

不動産コンサルティング技能試験の概要は次のとおりです。 (公財)不動産流通推進センターのホームページも併せてご参照ください。((公財)不動産流通推進センターのホームページへ)

1.技能試験

(1) 受験資格

  1. 宅地建物取引士資格登録者で、現に宅地建物取引業に従事している者又は今後従事しようとする者
  2. 不動産鑑定士登録者で、現に不動産鑑定業に従事している者又は今後従事しようとする者
  3. 一級建築士で、現に建築設計業に従事している者又は今後従事しようとする者

(2) 受験内容

  1. 択一式試験(50問、四肢択一式) 事業、経済、金融、税制、建築、法律の6科目
  2. 記述式試験(必修3科目及び選択1科目) 必修…実務、事業、経済の3科目 選択…金融、税制、建築、法律の中から1科目選択

(3) 出題範囲

  • 事業=事業企画、事業手法等に関する専門知識・技能
  • 経済=不動産を取り巻く経済情勢、マーケティングに関する知識
  • 金融=不動産に係る金融に関する知識、収支計画立案に関する知識
  • 建築=建築に関する知識、建築物に関する法律規制等の知識
  • 税制=不動産に関する税金の知識
  • 法律=不動産に関する法律の知識
  • 実務=不動産コンサルティング実務についての専門的知識・技能

2.登録

登録要件に適合する試験合格者は、申請により「公認 不動産コンサルティングマスター」として(公財)不動産流通推進センターの登録を受けることができます。

(1) 新規登録

  1. (公財)不動産流通推進センターの「登録簿」への登録
  2. 「認定証書」及び「認定証」(写真付き携帯証)の交付

(2) 有効期限

  1. 「認定証書」及び「認定証」による資格登録の有効期間は「5年間」

(3) 「登録」の更新

登録者は、「認定証」の有効期間中に一定の要件を満たすことにより、有効期間の終了前に「認定証」を更新することができます。

(公財)不動産流通推進センターのホームページへ

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