『不動産フォーラム21』 今月の表紙
(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、2009年1月号より、表紙及び表紙裏において、特徴のある都市開発プロジェクトを取り上げています。ここでは、その内容を転載するとともに、写真の別カットなども加えてご紹介します。
『不動産フォーラム21』最新号の内容は…
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2009年7月号 代ゼミタワーオベリスク
昨年の早春、新宿から徒歩5分の好立地にスレンダーで力強いフォルムが印象的な大手予備校の超高層ビルが竣工した。従前散在していた校舎の老朽化が進んだことから安全で快適な学習環境を実現するために集約化し、耐震性のある超高層ビルに生まれ変わった。1階から13階の低層部はエントランスホール・教室、14階から16階の中層部は食堂・空中庭園、17階以上は学生寮で構成されている。
この建物は大地震時にも建物の安全性や機能維持を図るために免震構造と耐震構造※)が併用されている。とりわけ耐震構造はスーパーウォールと呼ばれるRC造壁柱の連層耐震壁4枚を側面に配置し、さらにこれらをコアフレームと呼ばれる鉄骨ブレース架構で繋ぐことで、ねじれ剛性と耐震性を高めている。これにより、自由度の高い空間構成と透明性の高いファサードが可能になった。
確実に少子化が進んでいる日本において、大学や専門学校などの教育機関はこれからどのように学生を確保するかが大きな課題となっている。より安全で快適な学習生活環境を学生に提供するというのは、一つの解であるだろう。
物件名称 : 代ゼミタワーオベリスク
用 途 : 専修学校、共同住宅
所 在 : 東京都渋谷区代々木2-25-1
竣 工 : 2008年3月
敷地面積 : 3,508.66㎡
建築面積 : 1,160.71㎡
延床面積 : 27,175.10㎡
階 数 : 地上26階地下3階
高 さ : 134m
建築主 : 学校法人高宮学園
設 計 : 大成建設
写真・図版・文 大場雅仁
㈱東急設計コンサルタント 建築設計本部開発企画グループチーフプランナー
(技術士・土地区画整理士・再開発プランナー)
※)免震構造と耐震構造 : 特許庁の「技術分野別特許マップ(耐震・免震・制振構造、装置)」によれば、定義は必ずしも明確ではないとしつつ、次のように表現している。
「免震技術」とは、地震振動が建物に直接伝達されないように基礎等から分離、絶縁する構造が基本で、具体的には、基礎と上部建物の間に積層ゴム支承等の装置を設置し、その建物が独自に持つ振動周期を延長させることにより、地震での共振を防ごうとするもの。
「耐震技術」とは、地震力に耐える構造技術であり、柱、梁、壁などの構造物を弾性的または弾塑性的に地震力に耐えるようにするもの。
このほかの地震対策として「制振技術」があるが、これは、地震エネルギーをダンパなどに吸収させ振動を弱める技術で、建物の各階または頂部に各種ダンパを設置し、建物に入ってきた地震エネルギーを消費させ、建物の振動および被害を消去低減するもの。
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