『不動産フォーラム21』 今月の表紙
(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、2009年1月号より、表紙及び表紙裏において、特徴のある都市開発プロジェクトを取り上げています。ここでは、その内容を転載するとともに、写真の別カットなども加えてご紹介します。
『不動産フォーラム21』最新号の内容は…
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2013年8月号 JPタワー
その保存のあり方をめぐって、平成20年前後に物議を醸した旧東京中央郵便局がJPタワーとして生まれ変わったのは、2012年5月のことである。日本郵政グループの大規模不動産事業の第1号となった。次世代のビジネスビルとしての高い機能性と丸の内の歴史的景観を未来に繋げる意義深い設えは、東京駅丸の内側の新たなランドマークとなっている。
旧庁舎は歴史的な価値が指摘される一方で、東京都心の第一等地にありながら、有効高度利用がなされておらず、郵政民営化の議論とあいまって、その高層化の必要性が叫ばれていた。その後、「歴史的価値」と「資産の有効活用」をめぐり侃々諤々の議論の末、旧庁舎の保存部位を2割から3割に引き上げるなどして、現在の形に落ち着いたという経緯がある。
JPタワーは、商業施設「KITTE」と公共貢献施設「東京シティアイ」などからなる低層棟(地下1階から地上6階まで)と、オフィスフロアなどからなる高層棟で構成される。
コンセプトを「Feel JAPAN」としたというKITTEに入ると、まず1階のアトリウム※)に圧倒される。木材、瓦、織物、和紙など日本古来の素材が内装仕上げ材として多用され、自ずと「Feel JAPAN」を体感することになる。
7フロア約9,400㎡には約100店舗が出店しており、地下1階の全国各地のご当地食を扱う飲食店舗・食物物販フロアや保存部4階の旧東京中央郵便局局長室を復元したメモリアルコーナーなどからなる。
物件名称 : JPタワー
所 在 : 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
用 途 : 事務所、店舗、駐車場ほか
竣 工 : 平成24年5月
敷地面積 : 約11,600㎡
延床面積 : 約212,000㎡
高 さ : 約200m
階 数 : 地下4階、地上38階、塔屋3階
事 業 主 : 日本郵便、東日本旅客鉄道、三菱地所
設計監理 : 三菱地所設計
提携建築家: ヘルムート・ヤーン
商業施設内装デザイン: 隅研吾建築都市設計事務所
写真・図版・文 大場雅仁
㈱東急設計コンサルタント 執行役員 事業企画室長
(技術士・土地区画整理士・再開発プランナー)
※)アトリウム : 2011年6月号の本欄参照。
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