『不動産フォーラム21』 今月の表紙
(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、2009年1月号より、表紙及び表紙裏において、特徴のある都市開発プロジェクトを取り上げています。ここでは、その内容を転載するとともに、写真の別カットなども加えてご紹介します。
『不動産フォーラム21』最新号の内容は…
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2010年3月号 Ao
渋谷から青山通りを東にそぞろ歩くと、青山学院大学を過ぎる頃、一瞬平衡を失ったような感覚に陥る。瞬きせずにはいられない、大地に楔を打ち込んだかのような不安定とも思えるかたちのビルが視界に飛び込んでくるからだ。
そのビルの正体は、青山の新しいランドマーク「Ao(アオ)」である。骨董通りとの交差点に建つこのビルの敷地は、かつて高級スーパー「紀ノ国屋」があったところだ。もっとも、創業の地であった同地を2003年に売却した紀ノ国屋ではあるが、このビル地下1階に再出店している。他のフロアも青山らしく、ファッションを中心とした物販店や、洒落た飲食店等で構成され、本邦初出店の店舗も多い。90メートル程の高さがありながら地上16階としており、各フロアの天井高が高いので、店舗の並びに圧迫感が無く、路面店感覚でショッピングを楽しめる。
買い物に疲れたら、ビルの裏手にあるステップガーデンを散策するのもいいだろう。2階から4層へわたって展開する緑や水のテラスは来店者だけでなく、近隣住民の憩いの場にもなっているようだ。
日影やビル風など周辺への影響を配慮した結果、デザインされたというこの楔形多面体ビルは、夜景もまた一見の価値がある。全方面ガラス張りのペリメーターゾーン※)に設置されたフルカラー高輝度LEDにより、中間色のグラデーションで青山の夜にその特異なフォルムを際立たせる。
物件名称 : Ao
用 途 : 店舗(物販、飲食、サービス)、駐車場
所 在 : 東京都港区北青山三丁目11番7号
竣 工 : 2008年10月
敷地面積 : 3,336.99㎡
延床面積 : 21,855.40㎡
階 数 : 地上16階、地下2階
高 さ : 89.79m
建築主 : ダイショウ
設 計 : 株式会社日本設計
写真・図版・文 大場雅仁
㈱東急設計コンサルタント 建築設計本部開発企画グループチーフプランナー
(技術士・土地区画整理士・再開発プランナー)
※)ペリメーターゾーン : 「ペリメーター(perimeter)」は、「周囲」、「周辺」を意味する英単語。ペリメーターゾーンとは、主にオフィスビルで、外壁に近い室内の部分を指す。空調負荷計算における室内空間の区分の考え方であり、ビルの大きさによって異なるが、一般的には外壁から3〜5m程度とされる。窓ガラス面からの放射熱および対流熱など外気の影響を受けることから、室内中心部(インテリアゾーン)とは異なる空調対策が施される。
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