『不動産フォーラム21』 今月の表紙
(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、2009年1月号より、表紙及び表紙裏において、特徴のある都市開発プロジェクトを取り上げています。ここでは、その内容を転載するとともに、写真の別カットなども加えてご紹介します。
『不動産フォーラム21』最新号の内容は…
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2014年10月号 神戸ハーバーランドumie
成熟した現代の日本において商業施設は、複製化した消費装置を並べる均質空間——すなわち「どこにでもある場所」に陥りやすい。「ジェネリック・シティ」あるいは「無印都市」ともいわれる、そうした場所では、人は「どこにもいない自分」を感じる。
ここもかつては、そうだったのかもしれない。1992年の秋、神戸ハーバーランドの街開きとほぼ時を同じくして開業した当地の商業施設は、1997年3月期の売上高259億円をピークに下降の一途を辿り、2011年3月期には91億円にまで低迷した。
そこで、総床面積16万3,000㎡におよぶ国内最大級の大リニューアル工事を実施し、13年4月に再生したのが「umie(ウミエ)」である。大阪や三宮で次々と新たな商業施設がオープンする中で、差別化のポイントとして重視されたのが、「ガレリア」と「海」を結ぶプロムナードである。
ガレリア※)は内部に居ながらにして外部の環境を感じ取ることのできる希有な空間であったが、従来はテナント構成の制約もあって閉じた印象を免れなかった。このため、今回のリニューアルにおいてテナントの顔出し工事、多層階ブリッジの架構、屋根の葺き替え、エントランスゲートの改修、廊下手摺の透明化等が行われ、開放的な空間へと変貌した。一方、海へと続くプロムナードには、運河上に複数のブリッジを設けたりバリアフリー化を施したりして、来街者の回遊性・利便性の向上を図った。
こうして、リニューアル・コンセプト「『海・街・人』ここにしかない、きらめき」が具現化され、今まさに「ここにいる自分」を味わえる場所が提供されている。
物件名称:神戸ハーバーランドumie
( ハーバーランドダイヤニッセイビル商業棟
NORTHMALL・SOUTHMALL、MOSAIC)
所 在:
NORTHMALL・SOUTHMALL:神戸市中央区東川崎町一丁目7番2号他
MOSAIC:神戸市中央区東川崎町一丁目6番1号
用 途:
NORTHMALL・SOUTHMALL:物販店舗・飲食店舗・映画館・遊技場・結婚式場
MOSAIC:物販店舗・飲食店舗
リニューアル竣工:
NORTHMALL・SOUTHMALL:平成25年7月
MOSAIC:平成25年3月
敷地面積:
NORTHMALL・SOUTHMALL:約33,076㎡
MOSAIC:約35,022㎡
延床面積:
NORTHMALL・SOUTHMALL:約189,053㎡
MOSAIC:約39,921㎡
高 さ:
NORTHMALL・SOUTHMALL:約94m
MOSAIC 約26m
階 数:
NORTHMALL・SOUTHMALL:地下2階・地上21階
MOSAIC:地上5階
建 築 主:
NORTHMALL・SOUTHMALL:三菱倉庫株式会社 日本生命保険相互会社
MOSAIC:三菱倉庫株式会社
設 計:竹中工務店
写真・図版・文 大場雅仁
㈱東急設計コンサルタント 執行役員 事業コンサルティング本部副本部長
(技術士・土地区画整理士・再開発プランナー)
※)ガレリア : galleriaはイタリア語で英語のgalleryに相当する語で、「回廊」を意味するが、特に「屋根のある商店街や歩行者用道路」「通例ガラス張りの屋根のある大きなショッピングセンター」「通例ボールト屋根が掛かり、商業施設が並んだ広々とした通路、中庭または屋内のモール」を意味する言葉として使われている。(2012年2月号分より再録)p>
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