『不動産フォーラム21』 今月の表紙
(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、2009年1月号より、表紙及び表紙裏において、特徴のある都市開発プロジェクトを取り上げています。ここでは、その内容を転載するとともに、写真の別カットなども加えてご紹介します。
『不動産フォーラム21』最新号の内容は…
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2014年11月号 JR神田万世橋ビル+マーチエキュート神田万世橋
JR御茶ノ水駅から神田川沿いに万世橋へと下っていくと、この辺りが東京の山の手と下町の境目であることを実感できる。この辺り——万世橋付近は江戸時代には二つの街道と水運を担う神田川の交差点として、明治に入ってからは都電路線網が集まる交通の要衝として、東京の中心だったと言っても過言ではない。
万世橋駅は、開業当初は中央線の始発駅だったが、その後の鉄道網の発達により途中駅に過ぎなくなり、関東大震災を経て駅舎規模は縮小され、大戦の足音が迫る1936年に鉄道博物館へと建て替えられている。戦後は交通博物館として長きにわたり多くの人に親しまれてきた。
その交通博物館が新・鉄道博物館として大宮へ移転するのを機に当地の開発計画が企図され、2013年には鉄道高架下の商業施設と超高層オフィスビルが開業している。
万世橋のたもと、神田川沿いに一際異彩を放つ当地のレンガアーチは、今もってJR中央線を支え続ける現役高架橋である。駅舎部分は時代の変遷で幾度も建て替えられてきたが、レンガアーチは今回もなくなることはなく、高架下を商業利用するなかで生のアーチ構造をみせるなどして、むしろ積極的に利活用している。往時の階段を使ってかつてのホームレベルに登れば、行き交う列車を楽しむこともできる。
サウスコリドー※)と呼ばれる公開空地を挟んで建つオフィスビルは、レンガアーチへの視界の抜けを確保し、高層部の外観には赤レンガを連想させるデザインを施すなどして、当地の歴史性に配慮した景観形成を図っている。
物件名称:JR神田万世橋ビル
所 在:東京都千代田区神田須田町1-25
用 途:事務所、物販店舗、駐車場等
竣 工:平成25年7月
敷地面積:約 3,272㎡
延床面積:約28,452㎡
高 さ:約99m
階 数:地下2階・地上20階
建築主:東日本旅客鉄道株式会社
設 計:ジェイアール東日本建築設計事務所
物件名称:マーチエキュート神田万世橋
所 在:東京都千代田区神田須田町1-25-4
用 途:物販店舗、飲食店舗
竣 工:平成25年8月
敷地面積:約2,592㎡
延床面積:約1,997㎡
高 さ:約13m
階 数:地上2階
建築主:東日本旅客鉄道株式会社、株式会社JR東日本ステーションリティリング、公益財団法人東日本鉄道文化財団
設 計:東日本旅客鉄道、ジェイアール東日本建築設計事務所、みかんぐみ
写真・図版・文 大場雅仁
㈱東急設計コンサルタント 執行役員 事業コンサルティング本部副本部長
(技術士・土地区画整理士・再開発プランナー)
※)コリドー : corridorは(建物の各部をつなぐ)回廊・廊下または通路を意味する語。一般に出入り口がいくつも面している廊下を指し、列車のコンパートメントに沿った廊下もコリドーという。p>
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