『不動産フォーラム21』 今月の表紙
(公財)不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、2009年1月号より、表紙及び表紙裏において、特徴のある都市開発プロジェクトを取り上げています。ここでは、その内容を転載するとともに、写真の別カットなども加えてご紹介します。
『不動産フォーラム21』最新号の内容は…
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2015年6月号 WACCA IKEBUKURO
この一度聞いたら忘れられない名前の建物は東京・池袋にある。池袋は、新宿や渋谷と並ぶ巨大ターミナルでありながら、1978年にサンシャインシティが完成した後は、長らく大規模な再開発事業も行われず、街の更新が進んでいなかった。
そうしたこともあってか、2014年3月に指定された国家戦略特区の東京圏では、その指定を千代田、中央、港、新宿、文京、江東、品川、大田、渋谷の9区に限定され、7大副都心の一つ池袋を抱える豊島区は除外されてしまった。
しかし近年の池袋は思いの外、活気にあふれている。数年前からアニメやコスプレ好きの女子たちが多く集まる“聖地” として注目されるようになり、サンシャインシティに隣接する通称「乙女ロード」は、キャリーバッグを引いた女子たちでにぎわう。
このWACCAもそうした文脈のなかでできた商業施設である。池袋駅東口から歩いて3分という好立地にあって、その名の通り「輪=つながりをコンセプトにしている。ロゴの中に2つの「輪があるほか、日々の「日」を輪の中に閉じ込めることで、「日々、人と人、人と地域をつなげる場」を目指すのだという。地下4階から地上8階までに、「パーキング」「カフェ&ライフスタイル」「ホビー」「カルチャースクール」「クラブダイニング(+キッチンスタジオ)」「ブライダル」のフロアが展開している。
今後も池袋からは目が離せない。民間活力を利用した新庁舎の建設、現庁舎跡地や造幣局跡地の再開発、さらにはLRT※)の計画など目白押しだ。外国人にも人気のアニメ文化を中心ににぎわい溢れるまちづくりを進め、特区の追加指定を目指す。



物件名称 : WACCA IKEBUKURO
所 在 : 東京都豊島区東池袋1?8?1
主要用途 : 店舗、駐車場
竣 工 : 平成26年8月
敷地面積 : 約 1,709㎡
延床面積 : 約16,962㎡
高 さ : 約38m
階 数 : 地下4階・地上8階
建 築 主 : MARO
設 計 : 久米設計
写真・図版・文 大場雅仁
㈱東急設計コンサルタント 執行役員 事業コンサルティング本部副本部長
(技術士・土地区画整理士・再開発プランナー)
※LRT : LRTは Light Rail Transit(ライトレールトランジット)の略で、軽量軌道交通と訳される次世代の路面電車。国土交通省のウェブサイトによれば、「低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する次世代の軌道系交通システムのこと」である。
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